ブログ 教養講座「『レインツリーの国』を読み解く」

教養講座「『レインツリーの国』を読み解く」

Posted on

 2016年6月25日(土)放課後、本校の図書館にて、有川浩『レインツリーの国』の小説・映画を題材にした教養講座を実施しました。この作品は、アニメ化・実写化された「図書館戦争」シリーズの第2巻『図書館内乱』の「恋の障害」という話を中心に出てくる劇中作、つまりスピンオフ作品ということになります。

 「図書館戦争」シリーズ、『レインツリーの国』は本校の図書館にもあり、生徒によく借りられている本です。また『レインツリーの国』の劇中作として登場する『フェアリーゲーム』という架空の本の元ネタが笹本祐一「妖精作戦」シリーズで、これも図書館にあります(全4巻)。本を読んで、さらに関連する本を次々と読む楽しみが見つかるということですね。ドラマや映画など、映像だけみて原作未読ということはよくありますが、映像とは異なる小説ならではの魅力が必ずあるので、興味のわいたドラマや映画は、原作も読んでみてほしいと思います。

 解説では、このような本同士の相互関係を押さえたうえで、聴覚障害や補聴器などについて学びました。『レインツリーの国』には、伝音性難聴と感音性難聴の違いや、中途失聴者と聾者の違いなどの話が出てきますが、これらのことを知ったうえで改めて作品に触れると、理解を深めることができます。

 ちなみに、本校の図書館にある本で、こうしたテーマに関するものを一冊紹介するとしたら、杉浦彩子『驚異の小器官 耳の科学』(講談社ブルーバックス、2014年)を推します。作者は耳鼻咽喉科の医師で、耳で音をきく仕組み、耳に関する病気、補聴器、耳掃除など、耳に関係する興味深いトピックについて、一般向けに分かりやすく書かれた本です。

Raintree

 最後に、作品に対する感想・意見を紹介します。

「世の中のバリアフリーがあまり進んでいないと思った。「重量オーバー」のシーンや、携帯電話のバイブレーション有無など、考えさせられた。また、自分は小さい頃から音楽に触れることが多かったので、キスシーンの音楽やエンディングテーマなど、映画全体的に聴覚障害者はやはり僕らと比べると得られる情報が少なく、楽しみも半減してしまうのではないかという疑問も残った。」

「耳が聞こえない、聞こえづらいのは障害やハンデというより、人それぞれの個性としてとらえるべきだと思った。」

「耳に障害を持つ人にしか分からないような苦悩がこの作品で示されていたが、それに関心を持ち、理解しようとすれば、そのような人の苦悩を無くすことができ、前向きに考えることができるのだと感じた。障害者が自らの障害を隠して生活しなければならなくなるのを避けるためにも、お互いの気持ちを言葉で伝え合い、理解し合うことは大切なので、それを常に心がけるようにしたい。」

「障害についての知識は持っておこうと思った。人は目に見えるものに注意が行きがちなので、もっと他人の言葉で考えるようにしたい。」

「映画からは、どんな「障害」があろうとも、相手を想う気持ちがあれば乗り越えられるというメッセージを感じた。ただし、原作小説にはこの恋の難しさについても触れられている。ヒロインは「二人なら乗り越えられると楽観的になれるほど現実が優しくないことも知っている」(角川文庫版、215頁)。けれども、主人公の優しさがあれば、彼の大切な人くらいは守り続けられる、と僕は信じたい。」

(文責:教養講座担当 橋本)