ブログ 教養講座:リーマン・ショックの舞台裏

教養講座:リーマン・ショックの舞台裏

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 2016年11月5日と12日、中3・高1を対象にして、アダム・マッケイ監督の映画『マネー・ショート』(米、2015年)を題材にしながら、サブプライム問題とリーマン・ショックについて学ぶ教養講座を開催しました。映画の内容は、主人公グループが、サブプライム・ローン債権を組みこんだ金融派生商品(デリバティブ)の価値が、ローンの焦げつきによって暴落するということを見越し、債券に保険をかけて「ショート」し、金を稼ぐという話です。


 経済・金融映画なので、MBS(Mortgage Backed Security、不動産担保証券)、CDS(Credit Default Swap、クレジット・デフォルト・スワップ)、CDO(Collateralized Debt Obligation、債務担保証券)といった専門用語が次々に出てきます。また、住宅ローン会社・投資銀行・格付け会社、さらにはFRB(アメリカ合衆国の中央銀行に相当)なども含めた、サブプライム問題のプレイヤー間の複合的な関係の理解も必要となってきます。難しい話ではありますが、参加した生徒は意欲的に頑張ってくれました。以下、生徒の感想を一部紹介します。



〇人の思い込みや周りに流される心理は恐いものだと思った。しっかりと状況を見極められる人間になりたい。(高1)

〇単語や内容にあまりなじみがなかったので、最初大変だったが、理解すれば楽しむことができた。この話の前提に、「アメリカの住宅価格は上がり続ける」というものがあったが、そのような「常識」があったからこそ、サブプライム危機が生じ、多くの人が損をしたことがわかった。なので、「常識」を安易に信じずに、常に疑いの目を持つことが大事だと思った。(高1)

〇私自身文系で、経済・金融関係という道もあるので、こういった経済のことを難しい専門用語も交えながら勉強できたという点で、この教養講座はとてもためになった。また、専門用語も難しいところは先生が丁寧に説明してくださり、100%とはいえないかもしれないが、理解ができた。金融について今まで少し疎遠に感じていたが、親近感がわいてきたのがよかった。(高1)

〇私が今回この教養講座に出席しようと思ったきっかけは、小学生の頃から名前だけは知っていたものの、内容が全く理解できていなかった「リーマン・ショック」というものの構造を知りたいと思ったからであり、完璧にではないが、以前よりも深く知ることができたのでとても良かった。しかしこの映画を通して、私は本来の目的よりも重要であると思われることに関して知識を得ることができた。それは「自身の仕事に対する情熱のかけ方」である。……。また、この映画は大前提として、人と人とのお金のやり取りにもとづいた世界、つまり資本主義の世の中での各個人の生き様を描いているものだと考えたが、そもそもなぜ人間はこのようにして「お金」というツール、もしくは記号のようなものに振り回されて生きているのか、疑問に思った。そして、その世界の起源・構造・思想に興味をもった。(高1)

〇そもそも「(住宅)ローン債権を売買する」ということに実感がわかなかったが、この画期的なアイデアがアメリカ経済を活性化し、一方で危機に追いこんだという点で、MBSは大きな発明であったことはわかった。(高1)

〇難しい用語が多かった。CDSに関して、炎上中の家に対する「火災保険」のたとえがわかりやすかった。最後に主人公たちは金をもらって喜ぶのかと思っていたが、現実は違っていて、あまりいい気持ちにはならなかった。ウォール街には勤めたくないと思った。(高1)

〇僕は、もっとも信用のある人または会社ほど、もっと疑うべきだと感じました。現在、日経ストックリーグに参加していますが、改めて、株や債券などに手を出すのは相当な注意が必要だと感じました。でも、これを「ゲーム」と楽しめるなら、続けてもいいかもしれません。(高1)

〇リーマン・ショックが起きたときには小学生だったので、悲惨さに気づかなかったが、実際はこうだったんだととても驚いた。家をローンで買うのが恐くなった。(高1)

(←きちんと頭金を用意して、自分の給料と相談してローンを組めば大丈夫です)

〇金融市場の崩壊への過程に気づかない一般人と、主人公たちとの対比に重点を置いた映画だった。カエサル(古代ローマの将軍・政治家)は、「多くの人には、見たいと思う現実しか見えない」といったが、それはこのような場面においてもいえるのだと思う。今回の教養講座で経済の仕組みと暗部をより理解できたと思う。(中3)

〇金融について全然知識がなく、あまりよくわからなかった。先を読んで投資をするのは難しいんだと思った。(中3)

〇専門用語が最初から多く入っていたので、先生の解説がなかったら、何が起きているかわからなかったと思う。(中3)

〇汚いことすると、いいことないってことですね。お金も人間関係も。(中3)


 ちなみに、今年私が担当している高1「世界史A」の現代史の授業では、11月に大恐慌(世界恐慌)をやったところでした。フランクリン・ローズヴェルト政権は「ニューディール」の一環として、「グラス・スティーガル法」(1933年銀行法)という金融規制を強化する法律を制定しました。ところが、同法が規制緩和の流れで1999年に廃止されてしまったことが、サブプライム問題を肥大化させたといわれます。そうした反省から、オバマ政権は金融規制を強化する法律(ドッド・フランク法、2010年)を制定しました。しかし、アメリカ大統領選の結果を受け、こうした規制が今後どうなるかについて、世界が注視しています。

 世の中には、大学受験で必要なこと以外にも、学ぶべきことが多くあります。浅野生諸君には、視野を広げる努力を惜しまないでほしいと思います。今後の教養講座にもご期待ください。

(文責:教養講座担当 橋本)